人と地球の明日のためのモジュラーデザイン

2020/3/8

 2015年に国連で決められた2030年を目標とした持続可能な開発のためのアジェンダとしてのSDGsがあります。私たちのあらゆる活動が地球環境や社会の課題を踏まえて管理されることが求められています。すべての人々がこの地球上で豊かにくらしていける社会を作ることを目指した動きだと言えます。  このような社会を作る上では、先月のコラムにもありましたが、循環型経済を作り、省資源でありながら豊かな消費環境をつくりだすという二律背反を克服する考え方が求められています。その一つとして「モジュラーデザイン」があると私たちは考え、研究会のVisionとして「モジュール化により、環境にやさしい製品・サービスを提供できる社会へ」を掲げています。

 モジュラーデザインによる製品開発プロセスでは、製品仕様値を自由に決めるのではなく、最小の部品で最大の顧客を獲得できるようにするための等比数列(ISO3:1973、JIS Z8601)や、部品と部品の組み合わせが容易になる等差数列(ISO建築モジュール数)を活用することが求められています。これらの数列を製品設計に取り入れることによって、少ない部品で、多様な製品を生み出す(マスカスタマイゼーション)ことが可能になります。これらの数列を総称してモジュール数と呼びます。  具体的な進め方については、「実践 モジュラーデザイン」や「実践 エンジニアリング・チェーン・マネジメント」等の書籍や、本研究会主催の講演会での研究成果の報告等をご参照ください。
参考:http://www.j-ecm-md-institute.jp/

 本コラムでは、具体的なモジュラーデザインの進め方ではなく、上で述べたモジュール数を広く周知し、活用を促す方策について考えてみたいと思います。 活用を促すには、自身や自社にとって利益があるといった直接的な動機が必要です。しかしそれが社会のため世界のため、ひいては自身のためといった超長期的視点になるととたんに動機は弱くなります。どんなに強力なリーダーシップを持った経営層であってもこの視点でものごとを考えるのは困難です。その意味では、活用する動機のみに頼るのではなく、規制によって強制力を持たせることも必要ではないかと考えています。  例えばグリーン調達は環境省のガイドラインでは以下にように説明されています。「グリーン調達は、納入先企業が、サプライヤーから環境負荷の少ない製商品・サービ スや環境配慮等に積極的に取り組んでいる企業から優先的に調達するものです。原料の調達企業、仕入れ業者、自社の製品の生産に関わる 川上企業から川下企業、製品等の使用者、そして廃棄に至るまでライフサイクル全体を 視野に入れて、環境負荷の低減と付加価値の増大を図ることを目的とします(抜粋)」。企業がグリーン調達を実現するためには、現行製品の部材調査、代替部材調査、検査、調達手段構築、社内周知、等々複雑な導入に関わる実務が必要になると思われます。にも関わらず、このグリーン調達が複数の企業が守るべきルールとして定着しているのは、地域・業界・国等のカテゴリーで「規制」となっているというその1点だと考えられます。

 モジュール数の活用を製品開発の「規制」にするには、現在最も国際的に求められているSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲットに沿って国レベルでの目標を決めることが有効だと考えます。例えばターゲット12.6「大企業や多国籍企業をはじめとする企業に対し、持続可能な慣行を導入し、定期報告に持続可能性に関する情報を盛り込むよう奨励する。」で持続可能性の報告項目に「部品や製造装置の仕様値に対するモジュール数適用率を明記する」といったような国内規制を制定することがあげられます。さらには、このようなSDGsへの取り組みが評価され、モジュール数の活用が国際標準へと展開されれば、モジュール化が地球環境の維持に貢献し、人と地球を明るくするのではないかと考えています。




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